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この話は、簡単に言えば次のようなものです。但し、脚色しています。ある武士が、大きなねずみに悩んでいました。様々なネズミ捕り技術を持つ猫達に助けを求めます。まず、がむしゃらに腕自慢を見せようと一匹の猫が件のネズミに挑戦し、あえなく失敗してしまいます。次に、気の力を頼みとする別の猫が挑戦するのですが、これも失敗してしまいます。色々な別の技を持つ猫達が挑戦しても、百戦錬磨のネズミにはかないません。仕様がなく最後の望みとばかりに目をつけたのが、名人と言われるけれど、どうみても頼りなさそうな老猫でした。老猫は、よっこらしょと腰をあげるとネズミのいる部屋に入り、何事もなかったように、ネズミを咥えて出てきました。他の猫たちはびっくりです。この老猫の秘訣は、無心でした。何しろ、この猫が何の気配も見せないので、つまり、捕まえてやろうとか心にそんな囚われが無いのでネズミもどう対応してよいやらまごついている間に、捕まえられてしまいました。
次に、老猫の猫たちへの諭しで話を締めくくります。
「いずれの猫たちも、技術や気力などに頼り、また捕まえたいなどの欲望にこころが捉えられてしまって本来、無であるべきこころに、自分の形を作って相手に覚られてしまっている。ネズミの方は、技術、気力などにおいて百戦錬磨である上に窮鼠猫を噛むの例え通り、必死に戦ったので、猫たちに勝つことができたのだ」。
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